雪山登山必須アイテム「アイゼン」の選び方

投稿日:2024.11.01

冬山には夏山と異なり、通常のトレッキングアイテムに加えしっかりとした冬山装備が必要となります。

命の危険と隣り合わせになるため、しっかりと役割を理解し、適切な道具選びがとても重要!


今回は【アイゼンの役割と選び方】をご紹介いたします。

アイゼンの役割

アイゼンは冬山装備の中で【足元】から危険を守り、走行をサポートするために使用します。

その役割は大きく分けて2つあります。

〇硬く滑る雪面でのスリップ防止

雪上もしくはアイスバーンではトレッキングシューズのみで登山をすると滑ってしまい、

滑落などで命を落としてしまうことにも繋がります。

そのため、しっかりとした冬山装備、足元はアイゼンが必要となります。

〇急斜面での登攀サポート ※登攀:山または高所によじ登ること

雪の付着した急斜面を登攀する際、トレッキングシューズのみでは爪先が斜面に引っかからず滑落の危険性があります。

そのサポートをしてくれるのがアイゼンのもう一つの役割です。


続いて選び方です。

アイゼンの選び方

アイゼンは使用する場面に合った種類を選ぶ事が重要となります。

行く山の【標高】【季節】【雪面状況】などに応じたアイゼンを選ばないと、まったく役に立たないだけでなく、重大な事故に繋がる可能性があります。

まずは行く山の状況をしっかりとリサーチする事が大前提となりますので、山小屋や役場などへ雪の付き具合などの情報収集は怠らず行いましょう。

アイゼンの種類:爪の本数

登る山が決まったらいよいよアイゼン選びです。

アイゼンには爪の本数で大きく分けて2種類存在します。


それではどういった違いがあるのか見ていきましょう。

【~6本爪:軽アイゼン

主に低山(1000m以下)向けのアイゼンです。


埼玉県秩父エリアでは大霧山や日向山、東京都奥多摩エリアでは高水三山など、関東近郊でも1月~2月は雪が付く場所では、6本爪アイゼン程度は必要になります。


4本~6本爪のアイゼンを通称「軽アイゼン」と呼びます。


携帯性の高いチェーンスパイクと呼ばれるアイゼンも軽アイゼンに含まれますが、斜面が急な所ではズレてしまう危険性もあるのでおススメしません。

10本~12本爪:一般的なアイゼン

主に1500mを超える中高山向けのアイゼンです。


10本爪、12本爪ともに軽アイゼンと異なり、爪先からかかとにかけて満遍なく爪が並んでいます。


前爪があるのが大きな特徴で、急斜面を登る際には必須になります。


前爪にも種類があり、地面に対して平行なものを【縦走用】、垂直なものを【クライミング用】と呼びます。

アイゼンの種類:装着方法

続いてはアイゼンの装着方法による種類の違いです。


4~6本爪の簡易アイゼンは、ナイロンテープを締めるだけや、ラチェットをカチカチと締めるだけで、どのタイプのトレッキングシューズにも装着が可能です。


しかし、10本爪以上の本格的な雪山で使用するアイゼンは、トレッキングシューズとの相性相性があり、お持ちのトレッキングシューズに装着できるタイプか?を確認する必要があります。


ここでは10本爪、12本爪のアイゼンの装着方法の違いについてお話します。

【バンド式

ソールの硬いトレッキングシューズであれば、どのトレッキングシューズにも対応できます。


ソールの柔らかいシューズに使用してしまうとアイゼンが外れる危険性があるため必ずソールの硬いトレッキングシューズを使用しましょう。


軽アイゼンも基本的にはバンド式です。

【セミワンタッチ式

かかとにコバのあるトレッキングシューズに対応できます。

爪先側がバンド、かかと側がワンタッチ式になるため、装着も簡単になり外れにくくなります。

<コバとは>

セミワンタッチ式やワンタッチ式のアイゼンを装着するために必要な溝のことです。

トレッキングシューズの赤丸で示した部分を指します。

【ワンタッチ式

爪先とかかとにコバのあるトレッキングシューズに対応できます。


前後のコバにひっかけてかかと側のワンタッチ式で装着するため着脱が非常に簡単になります。


しかし、トレッキングシューズのコバとの相性はシビアで、使用中に衝撃で外れてしまう可能性もある為、前後コバとの装着具合がしっかりと合ったモデル同士で使用する事が必須です。

選ぶ際の注意点

〇靴との相性がある!?

装着方法での違いの際にトレッキングシューズのコバの有無のお話をしましたが、

その組み合わせ以外にも相性があります。

【靴のソールとアイゼンの間に隙間はないか?】

【つま先とかかとの位置がフィットしているか?】

【横幅が合っているのか?】

基本的に大体のシューズに使用出来るようにアイゼンは作られていますが、トレッキングシューズのソール形状や長さ、横幅、コバの高さなど様々です。


また、作っている国によって体格の違いで企画される形状も全く異なってきます。

ヨーロッパのメーカー、北米のメーカー、日本のメーカーと、どうしてもアイゼンとシューズを装着した際に合わない組み合わせが生じてしまいます。


こればっかりは、手持ちのシューズと組み合わせてみて初めて相性が分かる事なので、アイゼンを購入する際は、必ず手持ちのシューズを持参し、相性を見てから購入する事は必須となります。


このメーカーと、このメーカーはOKといった感じではなく、必ず装着しての確認が必要になります。

相性が合わないと、外れてはいけない場面でアイゼンが外れてしまう大きなリスクが出ますので、しっかりと確認をしましょう。

まとめ

①登る山を決める

②登る山に応じたアイゼンを選択し、10本爪や12本爪であればトレッキングシューズの形状にあったアイゼンを選択する

③実際にトレッキングシューズに装着し、相性を確認する

アイゼンの役割や選び方についてお分かりいただけましたでしょうか。
登山用品は目的にあったアイテムを、正しく使う事でその性能を100%引き出す事が可能です。


冒頭でもお話しした通り、冬山は命の危険と隣り合わせになるため、しっかりと役割を理解し、適切な道具選びが重要です。


アイゼンを購入する際は必ず「トレッキングシューズ」を持参し、相性のあったアイゼンを購入しましょう。
もしアイゼンとシューズの相性など、ご不明点はお気軽に店舗スタッフへお尋ねください。